古本屋なんてバカにされる職業なんですよ
人から下に見られる職業?
人から何かで、下に見られたように感じたことはありますか?
「けっきょく女は、金なんですよ。」
「あと顔な。」
「顔か、顔もだったかぁー。」
なになにどうしたのと聞くと
古本屋で働いていて、今はバイトだけど
のちに独立したいと気になってる女の子に話してから
連絡が取れなくなったのだという。
「古本屋なんてね、けっきょくバカにされる職業なんですよ。」
「いやだから顔の可能性も・・・」
「やめてくださいよ、もー!」
今日も平和である。
たしかにでも、その肌感覚はかなりある
少し前に大学を卒業してから旅立っていった女の子も
「なんか、下に見られてるなぁってよく感じます。」
と話していた。
本当はいろいろあって、みんなそこを選んで辿り着いていても(バイトでも)
世間というのはどうしても
わかりやすい経歴や現状でしか見てくれないようなところがある。
そしてそうゆう雰囲気を感じると
いつも思い出すことがある。
昔、三島由紀夫が好きつながりで
一時だけ縁があった2つ上の男の子と、渋谷の居酒屋に行ったとき
「僕、人も本だなって思うことがあって。」
と話していたのを思い出した。
スポンサーリンクどうゆうこと?
いや、だからなんていうか
それまでの歴史がかかれている一冊の本というか。
顔が表紙だとしたら
ここに至るまでの流れが目次で。
「あぁ、なんかすごく良いこと言うね。」
でもなんていうか、たいていの人って表紙しか見ないんですよね。
表紙だけ見て、ありか、なしか、みたいな。
そんでその後、てきとうに目次ざっとみて
こういうタイプの人ねって、簡単にジャンルわけする。
「うん、、」
でもね、僕は・・・やっぱりそれがちょっと寂しくて。
だって本当はもっと、面白いはずだから。
店内に風が吹いた気がした
皮タレを持ったまま泣きそうになる私( 当時 29歳 )
本って時間をかけて全体を読まないと
その面白さがわからないじゃないですか。
なんなら、読んでから数年たって初めてその良さがわかることもある。
「うん、、」
わかりやすく物語性があるものもあれば
静かだけれど何かひっかかるものもあるし
物によってはページがくっついて開けないところがあったり
落丁してたり、破れてたり、付箋や書き込みばっかりだったり
でも、そうゆうのってやっぱり、面白いじゃないですか。
そうだね・・・
しかも人の場合、必ずしも1ページ目から捲れるわけじゃない。
27p、83p、6p・・・って
いろんな場面を、たまたま一緒に過ごす中で
「あ、こんなページあったんだ」って
予想外の部分が、きせずして捲れることがある。
そうやって時間をかけて自然と浮かび上がってきたリアルな物語って
ものすごく尊いと個人的には思っていて・・・
だからね、僕は、はなおさんには諦めてほしくないなって思うんですよ。
「えっ 」
あるんですよね、きっと何かやりたいことが。
私は何も話したことはなかった。
「 諦めちゃダメですよ、絶対 」
「 本は、立派じゃないほど面白いんですから 」
そう言って彼はレモンサワーを流し込んだ。
私は震えながら喉の奥に皮タレを押しこむ。
「そこだけは、殺しちゃだめです。」
絶対に —————
この世界は厳しいけれど、どれだけ苦しくても
どれだけ切ない思いをしても
そこだけはやっぱり自分で潰しちゃダメなんですよ。
大丈夫、世間なんてものは本当はどこにもないし
あなたならたぶん、なんだかんだ手放さずにいられるはずだから。
その言葉は、今でも私の心の真ん中にある
最後まで私は彼の職業をきかなかった。
そして彼もまた私の職業を聞かない。
お互いたぶんそれで良いと思っていた。
もしかしたらそうじゃないと生まれない会話というのが
この世界にはあるのかもしれない。
彼とはその時期のみ、月1くらいで飲みにいくような仲だったが
お互いの流れの中でだんだん会わなくなり
1年ほど経った頃、久しぶりに連絡しようと思ってラインを遡ると
いつの間にか退会していた。
きっと私の知らない何かしらの物語が流れたのだと思う。
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今でも急に、目の前が真っ暗になった時は思い出す。
「大丈夫、あなたらならきっと手放さずにいられるから」
それだけで、クッと前を向けるような気がする。
大丈夫と、あなたなら、を
今度は自分が誰かに繋いであげられるような物語の続きを
描けたら良いのにと思いながら
今、夜のベローチェでこの記事を書いている。
